単独行での安全登山について – 山の相談小屋

アクティビティ:一般登山, カテゴリ:遭難・トラブル防止
相談者:M.T (男性/60代)
環境上、単独登山がメインとなっています。これを今後も続ける事になりますがそれなりに配慮して安全登山を続けて行くにご指導をお願い致します。

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JMIA認定インストラクター
松本 善行
松本です。

単独登山に関わらず、パーティー登山も含め、危険を回避し遭難を起こさないためには、その「予防」に努めることに他ならないでしょう。そして不幸にも遭難してしまった場合の「事後対処」の2つに分けて考えると、これからスキルを身に付ける上でイメージしやすくなるかと思います。そして予防と対処はそれぞれ能動的に行われます。

一方「安全」という言葉がいささか乱用され気味と感じており、そこには第三者が介在しがちで受動的な感じを受けます(例えば整備された登山道や、使いやすく改良された登山用品等)。本サイト後援の日本登山インストラクターズ協会が行っている「安心登山者養成講座」が「安全登山」という言葉を使用しない理由もそこにあります(登山をする当人が技術を身に付け安心、当人の周りの関係者も当人に対して安心、の意)。
話が少し逸れましたが、先ずは単独登山をする上の緊急時の不利(今ある状況をいかに周りに知らせるか)を念頭に遭難に対する意識を改革し、具体的に下記のような技術を身に付けることによって、根拠のある自信を持っていただければと思います。
下記は決して独学ではなく、技術講習会等で学ばれるようおすすめします。この山の相談小屋での別のご質問でスキルアップに関する事例がありますので探してみて下さい。

【予防】…登山技術スキルの向上
A.登山届(計画書)の提出(警察と親族など)※予防の意味とは異なりますが、遭難を起こさないという意識向上に繋がります
B.天気予報に対する判断(事前のコース変更や中止)
C.ナビゲーション技術(ルート補正・道迷い回避)
D.歩行技術(転倒・滑落予防)
E.危険箇所通過や懸垂下降技術(ロープワーク)…等

【対処】…サバイバル技術の向上 ※サバイバル=自分に及んだ危機に対し、自分自身で回避すること
A.ファーストエイド(意識がある場合に限られます)
B.ビバーク技術(ビバーク箇所の選定、幕営、暖の取り方等)
C.救助要請(携帯電話には必ず予備バッテリーが必携と心得る)
D.山岳保険…等

上記、救助要請に関し、具体的な例をご紹介しますと、
オーセンティックジャパンという会社が提供している「ココヘリ」というシステムがあり、現在、警察・消防・各山岳団体で急速に導入され始めている救助の初動システムで非常に画期的で安価です。これは登山届のシステム(コンパス)と連携もされています。詳しくは「ヒトココ」や「ココヘリ」で検索し、確認してみて下さい。
また、山岳保険(主に、ジロー・日山協共済保険・労山保険・モンベル保険等)の加入は今や登山者の義務と言えますので、この点も忘れてはなりません。
以上、よろしくお願い致します。

尚、ご質問冒頭の「環境上」とあるのは、ご自身が山へ向かうにあたり、周りの環境(仲間と共に登ることが難しい身体・生活・職業事情等)のことと解しまして、組織(山岳会や登山教室等)加入へのいざない等は、得たい情報とは離れることになると思いますので、ここでは触れません。

解決相談者:M.Tさん
この度はお世話になります。
ご回答ありがとうございました。
学生時代のワンゲルや、SAJ公認スキーパトロールなどの経験から山への執着心は私にとって常に新鮮で楽しみであり、活力にもなっています。しかしながら週末登山や日程を決めての早い段階からの計画的登山は、現在の環境から立て難いのが現状で単独登山にあまんじています。安全でゆとりのある単独登山を楽しむ為にも、初心に戻る意味で去年は大手登山用品販売店が開催する登山学校の各種講座やワンデイハイクに参加して学んだり、地元の山岳協会さんにコンタクトをとったりしました。またJROやココヘリにも入りました。それでも十分という事はなく、常に色々な情報に耳を傾け、時間を見付けては歩きトレーニングをしていく事にしています。
GoALPさんの登山に関するQ&Aは私にとって非常にありがたいものです。全国には私と同じ様な環境下で楽しんでおられる登山者も多いかと思います。是非、GoALPサイトに掲載して頂き、お役に立てる事を望んでおります。

異常な暑さの夏になりましたが、GoALPスタッフの皆様もお体を大切にされ、これからもご活躍されます事を願っております。

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